
LAS理論においてエクササイズの位置づけは、正しい動作を導くためのものであり、
ただ単に筋力を上げるということが目的ではありません。
筋力のある人が速いボールを投げられるのであれば、
ボディビルダーやプロレスラーのような体作りをすれば球速が上がるということになります。
しかし実際は速いボールを投げるのに細身のピッチャーもいますし、
筋肉の量と球速が必ずしも比例しているとは考えられません。
そこには「ピッチングという独特の動作を行える体」というものが要求されます。
どのような体がピッチングに適しているのかを理解した上でのエクササイズが必要です。
最近スポーツのトレーニングでよく言われているのが「体幹が重要である」ということですが、
これはピッチングにも言えることです。
体幹とは腹筋群、背筋群、股関節、肩周り、骨盤周辺の一体を表します。
体の中心に近い部分になるのですが、何故ここが重要なのでしょう。
例えばバットを持つときに、バットを逆さまにして持った方が軽く感じますし、
先端を速く動かすこともできます。
これはどういうことかというと、「根本が重く、先端が軽い」
つまり重心が体に近い方が動かしやすいということです。
これを考えると、体においても手足などの体から離れた部分よりも、
根本にあたる体幹を中心にトレーニングを行うほうが先端を速く動かすことが出来るのです。
球速を上げたいのであれば、体の根本を鍛える必要があるということになります。
スポーツ動作というのは、同時に体中の筋肉を働かせています。
つまり筋力トレーニングのようにひとつの筋肉だけを集中して動かすというものではありません。
筋力トレーニングによって高めた一つ一つの筋肉を、
ピッチングではそれらを連動させて使うということをしなければなりません。
当然、連動性を高めるトレーニングが必要になるということです。
例えばピッチングでは、
まず軸足の股関節の運動によって骨盤を回旋させ、
その力を体幹の筋群によって伝えることで肩を高速移動し、
その力を余すことなく指先に伝えるという行程を踏まなければなりません。
他にも様々な場面で筋肉の連動が起こりますから、
連動性を高めるトレーニングが非常に重要であると考えられます。